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TPPと医薬ライセンス

  - 2013年4月15日  最近の出来事と医薬ライセンス

本日(2013.4.14)の日経新聞、「TPP、日米協議が決着」という見出し。未だ未だ、米国議会での承認やニュージランド、オーストラリア、カナダの賛成も必要もあろうが、まずは、山は越え、日本の7月TPP参加もほぼ確実となった。日本の将来を考えれば、望ましい方向ではある。中々煮え切らなかった自民党が、やっと、一部反対派を押さえて、総裁一任でTPP参加に舵を切ったのが2013.2.26。前回衆院選での圧勝もあるだろうが、野党時代の苦い経験を経て「国民大多数の目」の怖さを多少なりとも認識することが出来たからかも知れない。多くの有権者の期待に添えなかった民主党政権もその意味では大きな貢献をしたと云えるかも知れない。

今回のTTP参加への舵切りの成功は、農林族(JA族?)の切り捨てではなく抱き込みにあったのではないか?等と見る人もいる。参加、不参加で対立する双方が、Majorityである参加意見に立って物事「全体」を進め、Minority の反対理由(今回は表向きは国内農業保護、本音は農業利権の保護?)に対しては「個別対策」を打つという戦術が功を奏したとの分析ができるかも知れない。

そこで思い出すのが、古くから幾つも例がある新製剤の技術使用許諾契約交渉の話である。

ご存じの通り製剤技術の特許は、新規医薬品の要である物質特許と比較して特許本来の目的である排他性が弱いことが多い。そこで、お決まりの議論が始まる。ライセンシー曰く「契約締結前に、導入候補技術を評価したいので製剤処方及び製造技術をCDA下に開示して欲しい。」これが物質特許の話なら、ライセンサーは「CDA下に直ちに技術情報を開示する。」となり、ライセンシー側の評価が順調に進展するのだが、新製剤の場合、そうは簡単にいかないケースが少なくない。Licensor曰く「処方及び製造技術は、実施許諾契約締結後でなければ開示できない。」交渉経験の乏しい当事者同士であれば、「開示してほしい。vs 契約締結前開示は不可。」で正面衝突となり、長い無駄な交渉期間を経て、交渉が決裂するか、どうしても妥結したいのであれば、何れかが泣き泣き相手の言い分に妥協するであろう。

ところが何れかの当事者に経験豊富な交渉担当者がおれば結果は全く異なる。打開方法がないかに見えた「処方開示・非開示」が目的ではなく、手段であることに気づくのである。相互に、物事を要素に分けて本音で話し合う。Licensor「特許の排他性が弱い中で処方や製造技術を開示すれば、技術の食い逃げをされる虞がある。」Licensee「処方や製造方法を評価しなければ製剤特許だけを見ても、新製剤技術の本質は評価できず、ましてや第三者技術の侵害の有無は評価が不能。技術の本質を評価せずに導入を決定し契約締結は出来ない。」此処までくれば合意するのは簡単である。

即ち、開示・非開示は目的ではなく、目的を達成するための単なる手段であった。
1)Licenseeは、契約締結拒否条件;i)明白な第三者特許侵害事実、ii)製剤の製造費、物性等の導入決定のための最低要求条件をLicensorに事前に提示。
2)Licensorは、下記条件で、CDA下に、処方、技術情報(MTA下に製剤試料等)を開示・提供。●ヶ月以内に評価を完了。
3) 対象製剤技術が上記1)の最低要求条件を満足した場合、Licenseeは契約(事前に経済条件等を合意)締結を強制される、又は、導入拒否の場合には相当額の支払い義務発生するものとする。以上で、正面衝突が回避され、新製剤技術ライセンスが締結されることとなり、双方win-winとなるケースは多い。

2013-4-15 [EDIT]




 

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