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アムロジン訴訟で和解

 

(2005/10/25 Cultureに関連記事あり

 

朝日、毎日、薬事日報等の記事によると、「住友化学と大日本住友製薬は共同発表(2006/8/21)し、大日本住友製薬が製造・販売するアムロジンのライセンスをめぐり、ファイザー社による仮処分申請(2005/9)に端を発し、日英両国にて双方提訴の訴訟となっていた件で、和解したと発表した。」なかなか判決が公開されないので、或いは?と思ってはいたが、判決文の中身(裁判所の判断の内容)に期待していたものとしては少し残念な結末ではある。

 

和解内容は、ファイザー社、大日本住友および住友化学は、日本および英国で提起した全ての訴訟を取り下げ、ファイザー社(Pfizer Ltd., Pfizer Corp.の2社)と大日本住友製薬は、アムロジンに関して旧住友製薬が有していたものと同一の権利・義務を規定した新しいライセンス契約を締結する、ファイザー社と大日本住友製薬および住友化学の間には、「本件和解に伴う和解金等の金銭の授受はない」というものである。

 

大日本住友によると、新しいライセンス契約は、ファイザー社との間で、大日本住友の発足時に遡り、締結し直した。 当該、訴訟はまずファイザー社が、住友化学、大日本住友に対し、アムロジンの住友化学から住友製薬へのサブライセンス権は「大日本住友製薬」となった時点で住友製薬の消滅と共に消滅したとして製造・販売の中止などを求め、東京地裁に提訴。それに対し大日本住友と住化は同年12月、ライセンス契約の地位確認を求め反訴していた。英国でも同様の訴訟が起きていた。 

 

今回の訴訟と和解で両者の得失はどうであろうか?

 

ポイントは、

 

①経済的得失 

i) 和解金

ii) 新規契約条件 

②企業名声(企業ブランド)への影響、

 

の2点である。

 

① i) 和解金はないとのことであるが、問題は新規契約書の経済条件を含む主要条件が変更されたかどうかである。もし、変更なしなら、住友側の完勝である。ファイザーとしては、「外資は、油断ならない。できれば、ファイザーとは組みたくない。」との警戒心を植え付けただけの、よくある話で外資担当者の「手柄をねらった。勇み足。」という結論になる。

 

公表はされていないが、もし、新規契約書の経済条件を含む主要条件の一部(例えば、ロイヤルティ率増加、原体又は製品供給価格増額、ロイヤルティ支払期間、又は強制的な製品供給期間延長)が改訂されたとしたら、ファイザー側の「小さな勝利」であり、住友側の敗北である。何れの契約書も見ていないので憶測になるが、勝ち目のない訴訟を仕掛けたファイザーが軟着陸を目指し、それが成功したと見ることも出来る。「小さな勝利」というのは、経済条件で儲かった(外資担当者が重視する傾向あり)が、日本のライセンス業界でファイザーブランドのイメージを傷つけた(外資担当者は気づかないことが多い)としたら、その損失も大きい。住友は主要条件の改定には応じなかったのであろう。時として、交渉下手な日本企業は外資からの無理筋の要求に易々と屈してしまうこともあり、外資に「日本企業は、強く言えば幾らでも譲歩する」との評判を与えることもあるのである。