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プロフェッショナル(Professional)第2話

 

検査会社、着工後も2度見逃す 耐震強度偽造(2005年11月19日13時05分 asahi.com)

 

(姉歯建築設計事務所により)偽造された構造計算書に基づいて耐震性能の不足するマンションなどが建てられていた問題で、着工前の建築確認をした民間検査機関イーホームズ(藤田東吾社長、東京都)が、完成した14棟のうち12棟で、着工後の中間検査と完了検査も手がけていたことがわかった。偽造書類が複数のチェックの機会をすり抜けたことを受け、国土交通省は検査制度のあり方を再点検する。(途中略) 着工後の2度の検査機会でも不正を見抜けなかった理由について、同社は「設計図は建築確認で審査済みなので、検査では工事が設計図通りかどうかを確認した。現場の鉄筋の数などを見ただけで、欠陥と見抜くのは相当な専門家でないと無理」としている。(以下略) ( )内は、編者註。

 

上記は、本日のasahi.comの記事の一部である。購入者に取っては、防ぎようのない天災(不可抗力)の様なものであり、誠に同情に堪えない。着工前及び後の建築確認をした民間検査機関イーホームズは、検査のプロと言うことで多額の手数料を貰っていると思われ、今になって「欠陥と見抜くのは相当な専門家でないと無理」という発言があったとすれば、「専門家」としての仕事もせずに専門家としての対価のみを受け取っていたことになるかも知れず、将に詐欺まがいの行為との疑念を持つ人がいても不思議ではなかろう。

 

今回の様な偽造の問題ではないが、専門性のないものが専門家と誤認され、後日その仕事の欠陥が問題となることは、医薬バイオ・ライセンスの世界でもしばしば見聞きすることである。会社の中の法務部門の担当者が契約書もろくにチェックできない。契約期間の存在しない草案を起案していたり、過去の契約書の改訂版を作成する際に、重要な過去の契約書を見落として参照していなかったり、することがしばしばあったりする。それをチェックする機能が存在しなかったり、仮に存在しても、ビジネス契約の専門外の顧問弁護士(Lawyerを含む)や弁理士にチェックを頼み、安心してしまい、事件が起きて始めて気が付くケースがあったりで、どの世界も似たり寄ったりある。資格や権威が中身より優先する環境では起こりうることである。

 

一般人は、建築士、弁護士(又はLawyer)、医師、大学教授、(最近価値は下がってきたが、博士も?)と言うと、(日本に限らず欧米でも、)まるで広い範囲の専門家で有るかの如き勘違いをしている様である。医師免許のない偽外科医が「名医」として活躍し、密告により身分が暴かれ、多くの『患者』から惜しまれて去ったという話を聞いたことがある。逆に、(お金を貰って)引き受ける人も引き受ける人であるが、皮膚科の医師に心臓手術を頼んだり、体育学科の教授に原子物理学を教わったりすると同じことをする人が世間には実に多いのである。

 

その世界の、技術水準を保つために国家資格を定めることはある程度仕方ないことであろうが、理想は、専門の範囲を狭く定め、更に国や同業士組合が定期的に資格審査をすべきである。同業士組合が既得権にのみに執着している様では情けない。これは何と言っても、消費者が、患者が、企業人が、そして学生が、建築士、弁護士(Lawyerを含む)、医師、大学教授に対して品定めの目を持って接することであろう。

 

(難しいことではあるが、)経験のない、中身のない、名前だけの資格に騙されて対価を払うことだけは、避けたいものである。