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スピード

近年、研究開発のスピードが言われる。

 

「臨床開発にIT(Information Technology)を巧く活用すると、臨床データーの記入、チェック、集計、解析の効率が極めてよくなり、開発期間が大幅に短縮できるようになった。」という話を聞く。多国籍企業は先行している。

 

日本でも後発医薬品(Generic)の販売額が徐々に伸びてきており、数量ベースで16.4%、金額5.2% (医薬工業協会2003年調査)に達してきている。欧米諸国では、新薬の特許切れと同時にGenericが出てきて、1年程度で特許切れ新薬の売り上げが前年の10%以下に迄減少することは良くあることである。年商1,000億円製品が突然100億円に迄減少するのである。死んだも同然である。開発スピードを早め、1年早く上市できれば、特許切れ前に1年分多く売れる事になる。ただ、そのためには多大な資金と原資が必要となるのである。

 

ライセンスではどうであろうか?

 

CDAの締結に無駄に1ヶ月も要してはいないだろうか?実施権契約書(License Agreement, LA)の交渉で、社内調整、或いは、マニアックな法務部員との交渉に手間取り、相手方に対案を出すまでに、1ヶ月も掛かってはいないだろうか? 結局、契約締結までに1年以上も掛かることはあり得ることである。

 

どこかで聞いた話である。100億円売上げの製品導出交渉がほぼ妥結しているところに、張り切り屋の新部長が着任。「もっと良い条件を」と言うことで、再交渉。契約金を$100,000.(12,000,000円)上積みした。交渉に余分な6ヶ月を要した。「良くやった!」と褒められた。

 

ところが、導入側の開発着手が6ヶ月遅れた。発売が6ヶ月遅れた。競合品も増えた。特許期間が6ヶ月減った。導出側は半年分の売上げ50億円の20%の利益10億円を失った。研究開発のスピード化と異なり、ライセンスのスピード化には原資と資金は余り要らない。にもかかわらず、ライセンスのスピード化には、どこの経営者もそれほど注目してはいない様に思える。