· 

Double Standard と契約交渉

 

Double Standard

 

Bush政権の原子力関連外交に関係して、double standardと言う言葉がマスコミで取り上げられたりする。Double standardとは、二枚舌という意味があり、誠実な人間のとる態度ではないといわれるが、国際政治やライセンス交渉ではしばしばお目に掛かる。

 

実際にdouble standardをよく使う相手も、面と向かってdouble standardだと言われるのは嫌な様である。要するにdouble standardは、unfairだと思っているのである。欧米人は、unfair(不公平、ずるい、えげつない)だといわれると、一様に色をなして反論する。交渉経験の少ない日本企業相手の交渉では、交渉相手の日本側がdouble standardであることにさえ気付かなければ、当の欧米企業はしらばくれて交渉するのである。要するに、double standardを嫌っているのではなく、double standardを用いたといわれるのが嫌なだけなのである。日本企業は、経験、知識がないと見られると嘗めてくるのである。

 

私の友人の英国人弁護士であるが、「CDA(秘密保持契約書)を交渉してみれば、相手側企業の交渉能力レベルが分かる」と言っていた。将にその通りである。大部分の日本企業やBio-Ventureは、秘密情報を開示する場合にも、開示して貰う場合にも、同じCDA Templateを平気で使用するのである。

 

一方、交渉慣れした外資では、たかがCDAでも、(当然相手側には告げずに)7種類程度のTemplatesを使い分けているのである。情報開示側用で3種類(H,M,S)、情報相互開示用に1種類、情報被開示側用に3種類(H,M,S)、H:hard, M:medium, S:softといった風である。

 

自社情報を出す場合に使うということで、以前、或るBio-Ventureに草案を作成してあげたことがある。当方作成のTemplate(情報開示側用Mレベル)は、相手側から「厳しい」といわれたので、相手側(被開示側)作成の草案を使用したという。既に騙されているのである。例えば、評価結果を書面で報告する期間(3ヶ月)の記載なし。秘密保持除外規定中の「受領者側が自社で独立に発明した情報に対する、受領者の証明義務」もなし。準拠法も受領側国の法律であった。いや、何ともお人の良い話しである。最近、政治の世界でも大きな問題となっているが、簡単に騙される人が何と多いことか。会社から、株主から、国民から、報酬を頂いて仕事をしているのだから、政治家は、また交渉担当者は、プロとしての知識と自覚を持ってやりたいと思う。

 

或る外資では、秘密保持義務期間(Template)が、自社情報では10年、他社情報では3年、であるということであった。単純なCDAでも、これだけの違いがある。ましてや、ライセンス契約書ともなると実際、恐ろしいほどの大きな違いが出てくるのである。